魅力的な朝食があふれるハワイでは、老舗レストランも、話題の新店も、どちらも外せません。先日、ハワイ・オアフ島で訪れた朝食スポットを5つご紹介します。
Moke’s Bread & Breakfast(モケズ・ブレッド&ブレックファスト)
オアフ島の東、カイルアタウンで愛されている「モケズ」は、名門ホテル「ハレクラニ」に勤めていたモケ・ワーレン氏が開業したレストラン。地元のロコで賑わっています。この日は週末ということもあり店頭には行列ができていて、20分ほど並びました。
まるでカイルアの海のようなブルーの壁に、木製のシーリングファン。ハワイならではのインテリアにときめきながら、ブレックファストメニューから迷うことなく2つオーダーしました。
まずは看板メニューの「リリコイ・パンケーキ」。私の目の前にサーブされた瞬間、隣の席のロコから「ナイスチョイスだね!これ本当に美味しいんだよ!」というメッセージが放たれ、大きな期待を背負ってやってきた一皿です。
もっちりシンプルなパンケーキに、ふわふわの軽いリリコイソース。頬張った瞬間、やさしい甘味とちょっぴり漂うサワー感を両立したソースが口いっぱいに広がり、虜になってしまいます。「リリコイ」とはパッションフルーツを指しますが、酸っぱさやフレッシュなみずみずしさを全面に出してはいません。あくまで、ほんのりサワーなのです。
あぁ、ハワイの気候になんてマッチしたパンケーキなのだろう。温暖な気候に、穏やかな風が吹く街。そんな環境だからこそ生まれた一皿に違いありません。
ハワイ料理といえば「ロコモコ」を挙げる人も多いと思いますが、モケズではロコモコだけでなく「ロコモケ」と名付けられたアレンジ料理もおすすめ。
通常、ハンバーガーパティ(ビーフパティ)を添えるロコモコですが、こちらの「ロコモケ」では自家製リブアイをオン!メニューに記載はありませんが、白米はフライドライスに変更可能です(私たちもフライドに)。卵の焼き加減を聞かれたので、片面焼き「サニーサイドアップ」でリクエストしました。両面焼きを希望する方は「オーバーイージーエッグ」と伝えてくださいね。
自家製のブラウングレービーソースは、まろやかで主張しすぎず、なんだか懐かしさを感じる風合い。子どもにも人気が出そう。モケズの料理はガツンとパンチの効いた大味ではなく、日本の観光客にも違和感のない優しい味付けです。
これって紛れもなく「朝ステーキ」ではありませんか。この時間でも抵抗なく食べられるのは、馴染みのあるお米のおかげかも。日本と深い関係を持つハワイの食文化は、自然と受け入れやすいですね。
ほかにも、ベーコンやソーセージ、卵などがセットになった「Home-style Breakfasts」や、単品のフレンチトーストやフリッタータなど、たくさんのメニューがありました。
そんな「モケズ」は、2019年にワイキキの北東に位置するグルメタウン「カイムキ」にも2号店をオープンし、観光客にとっても選択肢が広がりました。私も必ずまた行くであろう、おすすめのお店です。あぁ、すでにリリコイパンケーキが恋しい。
UMI by Vikram Garg(ウミ・バイ・ヴィクラム・ガーグ)
2023年4月、名門五つ星ホテル「ハレクラニ」の向かいに建つ姉妹ホテル「ハレプナ・ワイキキ」内にニューオープンし、話題になったレストラン「UMI by Vikram Garg(ウミ・バイ・ヴィクラム・ガーグ)」。ハレクラニでエグゼクティブシェフを勤めたヴィクラム・ガーグ氏が指揮をとる新店舗です。
数々の経験を積んだシェフが「オーシャン・ハーベスト」をコンセプトに、シーフードを中心とした独自のメニューを展開。リュクスな食体験が叶う注目のレストランで誕生した「新・パンケーキ」を食べに行きました。
こちらが噂の「マイタイ・パンケーキ」。ハワイで見かけるパンケーキの中では、かなり小ぶりサイズです(でも正直、このサイズでちょうど良かったりして)。キャラメリゼされたパイナップルが添えられています。
ふんわりしつつも柔からすぎない、いかにもシンプルに見えるパンケーキは、どことなく喫茶店のホットケーキを彷彿させます。別添えのラムココナッツソースは甘さ加減が未知なので、まずは少量かけて様子を見てみることに。こっくり、まろやかなソースの控えめな甘さが、ふわっと口の中に広がります。気づけば余すことなく全部かけていました。パイナップルの酸味も良いアクセントに。
一度は食べたい「贅沢パンケーキ」のジャンルが確立したかも。溢れんばかりのマカダミアナッツソースとか、タワーのようなどっさりホイップのパンケーキも素敵だけれど、私はこんなのも好き。これまでハワイでお目にかかれなかった繊細で上品なパンケーキは、ハワイアン・パンケーキの文化に新しい風を吹き込んだに違いありません。
前菜・選べるメイン・ドリンクがセットになった朝食のセットメニュー($45)も。単品で組み合わせるよりお得になるようです。こちらのセットで「スモークサーモンのタルティーヌ」をオーダーしてみました。
薄いブレッドの上に、クリームチーズとスモークサーモンがたっぷり載せられています。クリーミーでありながらも案外あっさりしていて、朝にぴったりの一皿。量もちょうど良く、二人で分けて無理なく完食しました。
前菜に選んだのは、シグネチャーメニューのひとつである「ヨーグルトパフェ」。ヨーグルトの上には、チアシードプディングとブルーベリーのコンポートが重ねられています。ヨーグルト自体に甘さはなく酸味があるので、甘いブルーベリーを絡めながら味わって。ハワイではスーパーフードをうまく取り入れたメニューに出会うことが多いですね。
今回、レストランの入っているホテル「ハレプナ・ワイキキ」に宿泊したわけではなかったので、念のため開店時間の7時に予約をしてから伺いました。開店と同時に数組のゲストが、その後もあっという間にほぼ満席に近い状態となっていたので、事前予約がおすすめです。
DECK.(デック.)
ワイキキの東側、カパフル・アベニュー沿いの「クイーン・カピオラニ・ホテル」3階の人気レストラン「DECK.(デック.)」も、朝食におすすめのレストランです。
オープンエアーで開放感のある店内ですが、さらに奥へ進むと絶景のテラス席があります。座っていれば汗ばむこともないほど過ごしやすい、爽やかな1月のハワイ。日差しこそ強かったですが、せっかくなので外の席を選びました。
カピオラニ公園の木々が視界を占めるパノラマビュー。奥には悠々としたダイヤモンドヘッドの姿。ついつい青い海に惹かれてしまいがちだけれど、ここでは鮮やかな緑に癒されたい。ワイキキの東の端だからこそ、ホテル郡の高層ビルに景色を遮られることもありません。
サラサラと吹くあたたかい風を浴びながら「プランテーションアイスティー」で喉を潤します。ブラックティー、パイナップルジュース、ココナッツシロップがミックスされた南国情緒の漂うドリンクは、ハワイの気候とも相性バッチリ。
ブランチとして2つのメニューをシェアすることにしました。
ベースとなるパンは、ココナッツから作られたハワイの伝統的なデザート「ハウピア」風のカスタードに漬け込んだもの。DECK.流のフレンチトーストは、ザクザクした珍しい食感が特徴的。まるでカレーパンの衣のようにクリスピーな外側と、ふっくらした内側のコントラストが引き立ちます。
表面には「ココナッツハウピオソース」と「ドゥルセ・デ・レチェ・キャラメル(じっくり煮込んだ練乳のキャラメル)」をトッピングし、ミルキーな甘さをプラス。ソース自体はなかなか甘いですが、量が控えめなので甘すぎることはなく、ぱくぱく食べ進められます。
甘いフレンチトーストに合わせるのは塩味のあるものにしようとオーダーしたのは「スパイシーチキンサンドイッチ」。想像していたサンドイッチの姿ではく、まるでハンバーガーのような出で立ちでした。
あっさりとした鶏胸肉、スイスチーズ、スライストマトに、水菜のような見た目の野菜「エンダイブ」。ほのかにスパイシー感のあるクリーミーなソース「チポトレアイオリ」は、どこかオーロラソースのような味わいでさっぱりしていました。
サイドに添えられたフライドポテトはかなり細めでサックリ揚げられていて、食べ出したら止まりません。結局ポテトでプラマイゼロ感は否めませんが、サンドイッチはかなりヘルシーであっさり。単品でいただくには少し物足りないかもしれませんが、ずっしり濃厚なフレンチトーストとの相性は良かったです。
「DECK.」は朝昼晩、一日を通してずっと良いムードを楽しめる貴重なレストラン。ディナーを食べに行ったこともありますが、朝はまた爽やかで落ち着いた雰囲気がありました。
Liliha Bakery(リリハベーカリー)
ハワイの老舗ベーカリーのひとつ「Liliha Bakery(リリハベーカリー)」。1950年に日系アメリカ人のタカクワ・ロイ&コウ夫妻が創業し、今では5つの店舗を構えています。
今回訪れたのはワイキキの中心にある「インターナショナルマーケットプレイス」内の店舗。立地抜群でワイキキのホテルエリアからとてもアクセスしやすい場所なので、帰国日の朝に立ち寄りました。
店内に入ると、地元の食材を使った焼き立てのペストリーがずらり。長年勤務している職人が、昔から変わらぬ伝統的なレシピを守っているそうです。
「リリハベーカリー」といえば、一日に数千個売り上げる「パフ」シリーズが看板メニュー。チョコレートクリームの入った「ココパフ」をはじめ、「グリーンティーパフ」や「クリームパフ」などのフレーバーが揃います。
ダイニングメニューをオーダーする場合は奥の席に案内されます(ベーカリーのみの購入では利用できません)。カラフルな花が咲き誇り、そよ風の吹く居心地の良い空間。朝食メニューには、卵料理、パンケーキ、ワッフル、ロコモコなどが並んでいて、ショーケースのペストリーも一緒にオーダーすれば持ってきてくれます。
大きなグラスにたっぷり注がれたドリンク。「アイスコーヒー」はブラックでなく、甘いカフェオレが出てきました。「プランテーション・アイスティー」は紅茶にグァバジュースがミックスされたものです。
大きなケーキが2枚やってきました。これぞ、シンプルなホットケーキ。なぜか香ばしいような、燻されたような、少しスモーキーな香りがしましたが、あれは何の香りだったのだろう?意図しているわけではなく、横で調理していた何かの匂いがついてしまったのかもしれませんが、うーん、リピートはしないかな。次にこちらでパンケーキを食べる機会があれば「ULTIMATE BERRIES & NUTS」が気になります。
リリハベーカリーのベストセラーであるパフシリーズから「クリームパフ」と「ココパフ」も食べてみました。見ての通り、シュークリームです。
「クリームパフ」はカスタードクリームが入ったシンプルなもので、私はこちらが好きでした。一番人気の「ココパフ」は、トップにシャンテクリーム、中にチョコレートクリームと、甘さレベルがもうワンランク上。チョコレートが好きな人や甘党の人にはとくにおすすめですが、シュー生地があっさりしているので食べやすいです。
ハワイ産のポイ(タロイモの球茎から作られたもの)を使用した「ポイドーナツ」は、日本の某人気ドーナツショップの商品に似たビジュアル。こちらもパフシリーズに続くリリハベーカリーのヒット商品です。
例のドーナツショップのなんとか・デ・リングをイメージして食べると、意外にも弾力があり、もう少しアッサリしているかも。スイーツではありますが、朝食のパン代わりにもなりそうです。
ベーカリーのみであれば店頭で気軽に購入できるので、テイクアウトしてホテルの部屋でゆっくりいただいても良いですね。
KCC Farmers’ Market(KCCファーマーズマーケット)
毎週土曜日の7時30分〜11時にダイヤモンドヘッドの麓で開催されている「KCCファーマーズマーケット」。ハワイを代表する有名なファーマーズマーケットで、いくつもの有名なショップを輩出しています。
ワイキキのホテルエリアからバスやトロリー、Uberに乗るのが一般的ですが、私のおすすめは約1時間かけて徒歩で行く方法。この時間のモンサラット・アベニューの雰囲気がたまらなく好きなのです。朝の日差しを浴びながら上り坂をのんびりウォーキングすると、ちょうど良い運動になります。
さて、魅力的な店舗が連なるなか、まずは贅沢にアバロン(鮑)からスタートしましょう。
「ベイビーサイズ/複数個セット」「小サイズ/5個セット」「大サイズ/単品オーダー(2個〜)」から選びます。味付けは、プレーン、ガーリックバター、味噌ガーリック、ジンジャーソースの4種類。
ラージサイズを2つ買ってみました。肉厚でふっくら、アツアツの鮑。朝からなんて贅沢なんでしょうか。
「味噌ガーリック」は味噌の主張が強めでパンチのある和テイスト。「ガーリックバター」はがっつりニンニクが効いていて、バターの芳醇な香りがふわり。求めていた想像通りの味に歓喜しました。シャンパンか白ワインが欲しい・・・。表面にまぶされたザクザクも良い仕事をしています。
小さな鮑で大きな満足感を得て、喉を潤すために向かったのは「PACIFIKOOL(パシフィクール)」。ハワイアンジンジャーエールとモクテルのショップです。
ひとつずつ丁寧に作られるので少し待ちますが、そんな様子をのんびり眺める時間だって、ハワイの手にかかれば良いひとときになり得るのかも。
一番人気は「レモンクーラー」だそうですが、今回は「マンゴージンジャー」にしてみました。ハワイアンジンジャーシロップ、オーガニックフレッシュマンゴー、カラマンシー、ミント、水で仕上げた爽やかなジュースです。ミントがたっぷり入っているので、モヒートが好きな人におすすめ。
KCCファーマーズマーケットでは、その場で食べられるもの以外に物販店舗も並んでいます。
「AIKANE PLANTATION COFFEE COMPANY(アイカネ・プランテーション・コーヒー・カンパニー)」で、希少な100%カウコーヒーのドリップバッグを買って帰りました。苦味はかなり控えめで、フルーティーで飲みやすいのが特徴です。
「アイカネプランテーション」は100年以上の歴史を持つコーヒー農園。農薬を一切使わず生産しており、その品質はお墨付きで、ハワイ州政府が安全で品質が良いと認めた「Seals of Quality(シールズ・オブ・クオリティ)」のプログラムにも認定されているそうです。
こちらは「LANIKAI MOCHI(ラニカイモチ)」というお餅を使ったスイーツの店舗。ワイキキ内のスーパーでも見かけましたが、ファーマーズマーケットではフレーバーの種類がたくさん揃っていました。
ずっしりと食べ応えのあるモチ・スイーツですが、和菓子とはテイストが異なります。私のおすすめは、ハワイならではのリリコイ。消費期限は3日後とのことなので、ホテルに持ち帰って好きなタイミングで食べても良いですね。
ハワイでは、波に乗るサーファーや、ウォーキングやランニングに勤しむ人々の姿を、日が昇る前から見かけます。ハワイの朝は早い。せっかくなら早起きして、おいしい朝食スポットを訪れてみては。
※こちらに記載のメニューと価格は2024年1月時点のものです。