先日、韓国ソウルで訪れたおしゃれなカフェを、渡韓歴30回のライターが紹介します。
O’pato(오파토/オパト)
朝から美味しいブランチを楽しめるカフェがひしめくソウル。そんな中、美味しい塩パンとブランチで有名になったお店が「O’pato(オパト)」です。地下鉄「ノクサピョン駅」から15分ほど北に歩くと「early bird meal at 8:00am」と書かれたオレンジの看板が見えます。
海外テイストのお店が並ぶ梨泰院エリアらしい、ヨーロッパの街中で見つけられそうなヴィンテージ感漂うインテリア。美しい壁紙に囲まれた店内には、9名がけの大きなテーブルがひとつ(相席)と、独立した2名用のテーブルがひとつ。とても小さなお店です。
とくに週末にはウェイティングが発生するほどの盛況ぶりで、混雑時は道を挟んで正面にあるレストランの席を間借りしながら営業しているそうです。私は朝8時オープンと同時に一巡目で入りたかったので、早朝から気合を入れて並び、一番乗りで入店しました。
ブランチメニューの種類が多くて迷います。話題の塩パン「Sea salt Bread」は単品でもオーダー可能。
塩パンはシンプルなそのままの形で食べてみたかったので、単品でも1つオーダーしてみました。
ふわふわの塩パン。しっかり中までしみ込んだ甘くて芳醇なバターが口の中でじゅわっと広がり、いくつでも食べられそうです。表面にまぶされた塩の主張は控えめで、ソルト感はそこまで強くありません。
ブランチメニューの「O’patoトースト」は、ホワイトブレッドトースト、スクランブルエッグ、グリーンサラダ、グリルベーコンが含まれたワンプレートディッシュメニュー。
パン自体は特別驚く程のものではないのですが、横に添えられた「O’pato vanilla bean milk jam」が感動モノ。添加物を使わず、天然のバニラビーンズ、牛乳、サトウキビ由来の有機素焚糖で長時間ゆっくりと煮込んで作られるO’patoのバニラビーンズミルクジャム。まるでミルクティーのような自然な甘さを感じられるクリーミーなペーストで、パンを口に運ぶ手が止まりません。
朝8時から10時までの2時間限定で提供されている「アーリーバード・モーニングセット」。塩パンサンドイッチ、日替わりスープ、ドリンク(アメリカーノまたはオレンジジュースから選択)が含まれています。
O’patoの塩パンはアレンジしやすい形状を生かして、中に卵やアボカドを挟んでサンドすることもできます。パン自体の主張が強くないので、さまざまな食材にマッチしそうです。
この日のスープは甘くてやさしいパンプキンでした。塩パンサンドイッチとの相性も抜群。
可愛いカップにたっぷりと注がれたカフェラテも一緒に。テーブルいっぱいに広がる美味しい朝ごはんのおかげで、素晴らしい一日をスタートできそうです。
メニュー表には記載がありませんが、テイクアウトメニューとして「塩パンチューイング(ラスク)」は外せません。スタッフに声をかけると出してくれます。
塩パンに風味を加えてもう一度焼き上げ、手間暇かけて作られるラスク。外はカリッサクッと、中はしっとり。どこかもっちりとしていて、その名の通りチューイーな食感。パッケージも可愛いので喜ばれるお土産になること間違いなしです。塩パンもラスクも時間によっては売り切れるので、ぜひお早めに。
2020年のオープンから人気が衰えることなく、大手自動車メーカーとコラボしたり、Webショップをオープンしたり、話題の尽きない「O’pato」。現在、お隣の物件で拡張工事を進めている真っ最中で、どんな空間になるのか完成が楽しみです。
CECI CELA Dosan Park(세시셀라 도산공원점/セシセラ)
江南・狎鴎亭(アックジョン)の有名店が軒を連ねる島山公園周辺エリア。「CECI CELA(セシセラ)」は、キャロットケーキが有名なカフェです。
こちらが噂の「キャロットケーキ」。すりおろしたニンジンの粒が見えます。しっとりとしたチーズクリームが重なり層になっていて、とても大きくボリューミー。なんと冷蔵熟成に7時間を要するそうです。
見た目に反して甘さは控えめ。れっきとしたケーキですが、マフィンやスコーンのように朝ごはんにだってできてしまいそう。素材の味がやさしく手作り感があり、どこか素朴で懐かしい味わいです。添えられたホイップクリームやナッツとの相性も抜群。人気の看板メニューであることに納得です。
こちらは新メニューとしてショーウィンドウに看板が出ていた「イエローチーズクリームケーキ」。一般的なスイーツとしてのチーズケーキではなく、チーズそのものを食べているような濃厚な味わい。ワインにも合いそうな風味でした。かなり濃厚で、チーズ好きにはもってこいのメニューです。
たくさんの写真が飾られたヴィンテージ感漂う店内は、まるで西洋の国に来たかのような雰囲気。大人のゲストが多く、落ち着いたムードの中ゆったりと過ごせる素敵な空間でした。
甘いものは好きでも「甘党」レベルではない方は、ケーキのシェアをおすすめします。
Buvette(부베트/ブヴェット)
地下鉄「狎鴎亭(アックジョン)駅」のすぐ側にそびえ立つラグジュアリーホテル「アンダーズソウル江南」。同ビル内には「ブルーボトルコーヒー」や「TWG Tea」など外資系の人気カフェが入っており、その中のひとつが「Buvette(ブヴェット)」です。
「ブヴェット」は、ニューヨーク・ウエストヴィレッジ発のオールデイダイニング。パリ、ロンドン、メキシコシティ、東京にも店舗を展開しています。
伝統的なフランス料理を味わうもよし、カフェやバーとして立ち寄るもよし。時間を問わず気軽に楽しめる場です。夜はカジュアルな中にも少しムーディーな雰囲気。薄暗い店内にキャンドルの炎が揺れて、あたたかみのあるムードに包まれています。気候の良い季節はテラス席も開放されるようです。
アメリカーノ、カプチーノ、カフェラテ、コーヒーミエル(蜂蜜とシナモンを使ったミルク珈琲)に使用している豆は、ソウル・聖水洞の人気カフェ「Lowkey coffee」のもの。紅茶はアメリカ・ポートランド発の「Steven smith teamaker」のものだそうです。
ブヴェットのアイコン、フォークの刺さった「チョコレートムース」にトライ。想像以上にずっしり濃厚。ホイップクリームもぎゅっと詰まっていて、なかなか日本では出会うことのない甘くてどっしり感のあるスイーツでした。
ショッピングの合間にも立ち寄りやすい立地で、時間を問わず使える貴重なお店。覚えておくと便利な一軒です。
STARBUCKS COFFEE 京東1960(스타벅스 경동1960점)
2022年12月16日、地下鉄「祭基洞(チェギドン)駅」から徒歩5分の距離にある昔ながらの市場「京東市場(キョンドンシジャン)」の中に、特別なスターバックスコーヒーが誕生しました。
大きな市場を歩いていると、突如スタバのマークが現れます。
旧京東市場建物の3〜4階に位置する、1960年代にオープンした旧劇場。クローズののちに使われていなかった廃劇場が改装されて生まれ変わったのが「STARBUCKS COFFEE 京東1960」です。
話題のスターバックスに行こうと、高齢化が進む伝統市場にたくさんの若い世代が訪れ、賑わいを見せています。
「スターバックス・コミュニティストア」の5号店としてオープンした「STARBUCKS COFFEE 京東1960」。コミュニティストアとは、地域にとってプラスの変化を引き出し、地域活性化への貢献を目的とされた店舗を指します。こちらの店舗では、1メニューにつき300ウォンが市場の活性化に使用されています。
また、地域の機関と協定を結び、併設されたステージを地域アーティストによる講演の場として提供したり、市場関係者にバリスタとしての採用の機会を与えたり、地域インフラの改善に貢献したりと、さまざまな活動を予定しているそうです。
1960年代に建てられた際の木造天井をそのまま残し、レトロ感を活かした店内。オーダーブースの天板は、スターバックスタンブラーを再利用して作られています。
ベーカリーは店内のオーブンで焼かれたものを提供。韓国限定のドリンクメニューも楽しめます。
ローカライズされた特別なスターバックス。消費行動が地域の役に立つだけでなく、ゆったりとした空間で居心地も良いので、ぜひ一度訪れてみてほしい場所です。
※こちらに記載のメニューと価格は2023年4月時点のものです。