【モリエールモンターニュ】北海道を味わい尽くすフレンチ(パークハイアットニセコ)

「パークハイアットニセコHANAZONO」宿泊記(2)

北海道・ニセコエリア。スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しむために、世界各国からこのパウダースノーの聖地へ人々が訪れる。冬に一段と賑わいを見せる町だ。そんなニセコへ、グリーンシーズンの5月に訪れた。ゴールデンウィーク真っ只中だが、季節的に考えると、ここでは“オフシーズン”とも言える。雪が溶け、ダウンジャケットを着ない季節のニセコの素晴らしさが伝わると嬉しい。

6つのレストラン、3つのラウンジ、デリ、ワインセラー、カラオケが揃った「パークハイアットニセコHANAZONO」。ハイクラスなレストランが進出し、世界中から訪れたゲストを美食で歓迎しているホテルだが、その中でも北海道を代表する店のひとつと言えるのが「モリエール モンターニュ」だろう。

「モリエール モンターニュ」は、札幌でミシュラン3ツ星を獲得した「モリエール」を率いる、中道博シェフが展開するフレンチレストラン。北海道の大地が生み出した旬の食材を、伝統的なフランス料理に昇華させている。

17:30。まだ外が明るい中、ディナーのコースメニュー「FORET」がスタートする。

まずは人参とラディッシュの上に生ハムがのったプレゼンテーションから。

何もつけずに食材そのものを味わってみる。土っぽさがあり、個人的な好みとしてのわがままな感想は「生ハムに助けられた」というところだが、コースの冒頭における大切なメッセージに違いない。食材が持ち合わせている本来の力強い味を、究極にシンプルに、そしてストレートに伝えている。

「法蓮草」

石の上に載った、ほうれん草のクロックムッシュ。

「牛蒡」

ごぼうの香ばしく深い味わいが楽しめるスープ。

「蕗の薹」

まるでアート作品のようなビジュアル。フキノトウのフリットは、春の苦味が口いっぱいに広がる大人の味。

「季節野菜」

絵画のような美しい彩りに目を奪われるひと皿。つい真上から写真を撮りたくなってしまう。20種類以上の季節野菜を使用しているそうだ。食材ごとに異なる味つけがなされているので、ひとつずつ丁寧に噛み締めてゆく。これだけバラエティに富んでいるのに、なぜか全体を通してまとまりが良い。

存在感がすごい。パン好きなのでつい食べすぎてお腹が膨れてしまいがちなので、意識的にセーブする。

「タラバ蟹」

ここで海の幸が登場。大根の甘酢蒸しを添えて、さっぱりと仕上げたタラバ蟹。

「松前鮑」

海の幸が続く。ふっくらとした松前鮑に、ソテーしたイカ墨リゾットとソースを添えて。まわりを衣でクリスピーな食感に仕上げている。サクッからのトゥルンと、異なる食感のコントラストを楽しむ。筆者が感動した料理のひとつだ。

「洋梨・紅茶」

洋梨と紅茶を使ったシャーベットを挟んで、一旦サッパリとさせる。

「十勝牛」

ここで炭火で燻した松で香りづけされた十勝牛が登場。モクモクとしたスモークに包まれた姿は、一気に主役の座を奪っていく。

インパクトある登場をしたが、だからといって味わう側にとって決して難しいものではない。わかりやすい美味しさに「これこれ!」と嬉しくなり、何度も頷いてしまう。そしてやはり、このニセコ旅で出会った料理の中で筆者のベストディッシュとなった。

「北海道チーズ」

ふんわり削られたチーズ。シンプルに、手が止まらない。一瞬でなくなってしまった。

「牛乳」

ミルクのジェラートは、オリーブオイルとペッパーをアクセントに。

ずっしりとしたミルフィーユを抱えながら「今からこちらを切り分けてお持ちしますね」

またしてもテンションが上がってしまうプレゼンテーション。ふわふわのクリームがこぼれ落ちそうだ。目に映った瞬間に別腹センサーが作動し、これまでの料理が胃のなかでギュギュッと空白を作りはじめる。

「ミルフィーユ」

全てのメニューが美しく、丁寧で、最後までとても満足度の高いディナーだった。北海道の大地が育てた春夏の食材を味わいつくす時間は、グリーンシーズンにおけるニセコ旅の醍醐味だ。

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