【神戸北野ホテル】全部が主役のごちそう「世界一の朝食」で迎える幸せな朝

2023年10月。母の誕生日祝いとして、かねてより憧れていた「世界一の朝食」を目当てに、神戸北野ホテルのダイニング「イグレック」を訪問した。

「神戸北野ホテル」このエリアに溶け込む洋館スタイルの美しい佇まい

神戸・北野エリアは観光客に大人気のエリア。「神戸北野異人館」を筆頭に、海外にルーツを持ったおしゃれな洋館やレストランなどが点在する坂の街だ。

このエリアは駅から少し離れることもあり、神戸界隈に住んでいる大半の地元人が日常的に訪れる場所ではない。神戸で頻繁に歩くのは、もう少し海側のエリアだ。「ちょっと今日は北野まで行っちゃう?」だとか、「気候も良いし、たまには北野方面の散歩も楽しいよね」のように、神戸人もちょっとしたお出かけ気分を味わえる特別な街なのだ。

そんな場所に「神戸北野ホテル」は存在する。総部屋数30室の小さなホテルは、「滞在できるレストラン」と謳うオーベルジュホテルでもある。館内は北野の街同様に異国情緒に溢れ、独特のムードに心を持っていかれる。私はこのような個性ある美しいスモールホテルが大好物だ。

神戸北野ホテルが誇る「世界一の朝食」

ロビーの見学はそこそこに、予約の時間になったので早速レストランの席につく。間もなくすると、テーブルの幅にぴったりとフィットする大きなトレイが次々と運ばれてきて、目の前で美しいパズルが完成する(写真で2名分。実はこの右隣に父もいる)。

「世界一の朝食」という名称こそ有名だが、そう呼ばれている理由は果たしてどこまで浸透しているだろうかーーなんて考えながら、朝食に添えられた小さな冊子をペラペラとめくると、その経緯や食材へのこだわりが記されている。

総支配人・総料理長の山口浩氏は、フランス料理界の重鎮であるベルナール・ロワゾー氏を師匠にもつ。ホテルを開業するにあたり、ベルナール氏から公式に再現を許されたヨーロピアンスタイルのメニューが、ここ「神戸北野ホテル」の朝食である。

4種の「飲むサラダ」とジュース

まずは小さなグラスに注がれた「飲むサラダ」でスタート。低温ミキサーなどで数種類ずつ絞り、丁寧につくられている。

左から「日向夏・ライチ」「マンゴー・人参」「白桃・カシス」「青りんご・すだち」と名付けられているが、実際にはもっと多くの食材を使用しており、この日は25種類もの野菜やフルーツが含まれていた。身体の中の血液が、一瞬でサラッと流れたような、なんとも清々しい気分になる。

本来、ヨーロピアンスタイルの朝食にはサラダが含まれないが、サラダが食べたいというゲストの声を取り入れたメニューらしい。

クロワッサン、パン・オ・ショコラ、フィナンシェ、トースト等がどっさり入った木製のボックス。まるでベーカリーの陳列をそのまま持ってきたかのようなビジュアルは、パン好きにはたまらないだろう。紙袋も添えられているので、余ったものは自宅に持って帰ることもできる。

「ジャンボンブランと生ハム」

ハムを指すフランス語「ジャンボンブラン」。白ワインとハーブでマリネされている北野ホテル特製ハムだ。テイストの異なる2種類のハムは、そのまま食べても良し、パンにのせても良し。

ヨーグルト用のトッピング
3種のバター

個性豊かなトッピングは、紛れもなく影の立役者だ。朝食の充実度を底上げしてくれている。

自家製のグラノーラとアーモンドペーストに、栗の実のはちみつ。これらはヨーグルトに加えるためのもので、グラノーラは包装されたものをお土産としていただいた。

パンには3種類の無塩バターを。パセリやドライトマトを加えた合わせバターも並び、細やかなところまで手が込んでいる。

「トーストにジャンボンとバターをのせると美味しいですよ」と教えてもらったので、早速やってみる。せっかくなのでバターは3種類すべて並べて、贅沢な一枚が完成した。サクサク、ふっくら。塩気が控えめのやさしいハムに、やわらかくクリーミーなバターがスルリと溶ける。とても軽やかで、一瞬でなくなってしまった。

ほかにも、丹波地鶏の半熟卵に「一番だし」のスープ、デザート枠には「タピオカ・オ・レ」が登場。小粒のタピオカを甘く炊き、丹波の黒豆やナッツと一緒に味わうスイーツで、どことなくアジアンスイーツを彷彿させるような甘い味わいだ。

色とりどりのフルーツに、季節の生コンフィチュール、プルーンのコンポートなど、果物類も豊富なラインナップで心を満たしてくれる。

カフェオレをおかわりしながら、じっくり食べ進めてゆく。もちろん会話もそれなりにするけれど、ひとつずつ集中して味わいたい。全部が主役なのだから。

胃も心も満たされて、とてもハートウォーミングな気持ちになった。「世界一の朝食」は、これから始まる一日を幸せ度満点でスタートしてくれる。これは、ランチやディナーでは決して叶わえない「朝食」の特権なのだ。

Bonjour! おはようございます。

どんな素晴らしい一日が始まるのか、期待に胸が膨らむ朝。大切な人と思い出を語り合ったり、これからの旅のプランを相談したり・・・・・・いつもよりゆっくりとした時間の流れの中で朝食をお楽しみください。

神戸北野ホテル 「世界一の朝食」に添えられた冊子より

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次