【モルディブ】至極のリゾート「ギリランカンフシ」で過ごすハネムーン[5]

ギリランカンフシ ハネムーン旅行記

ハネムーンで訪れたモルディブ。「1島1リゾート」と呼ばれる、世界でも類を見ないスタイルを確立するモルディブでは、どの島(=ホテル)を選ぶかで旅の全てが決まると言っても過言ではない。

私たちが宿泊した「ギリランカンフシ(Gili Lankanfushi)」は、過去にトリップアドバイザーの「旅行者が選ぶホテルランキング」で世界・全89万ホテルの中のトップを獲得したことのある、業界では有名なリゾートだ。

そんなギリランカンフシで、私たち夫婦が五感で浴びたトップ・エクスペリエンスが、この「ハネムーン旅行記」には詰まっている。

サプライズ・アップグレード

5日目の朝。陽が昇って間もない時間に起きて、最後の朝食を食べにレストラン「Kashiveli(カシヴェリ)」へと向かう。

ギリランカンフシで食べる最後の朝食。

この日はフルーツをたくさん食べると決めていた。ギリランカンフシの朝食ビュッフェでは、選んだフルーツをシェフが目の前でカットしてくれる立派なフルーツスタンドが人気だ。なかなか日本では食べられないマンゴスチンを見つけて飛びついた。

ギリランカンフシの素晴らしい朝食については、こちらの記事に詳しく書いている。

部屋に帰る途中、桟橋のそばをエイが泳いでいるところに遭遇。

昼にはチェックアウトをしなければならない。出発が夜中なので、残り12時間ほどはギリのリゾート内で過ごすことになるのだが、思い出の詰まった自分達のヴィラを離れるのは寂しい。

ギリランカンフシでは、出発までの時間を過ごさせてもらえる客室「バブルルーム」が用意されている。仮の部屋ではあるが、シャワーやベッドも備えた個室で、一般のホテル客室のような何不自由ないものだ。ヴィラを出た後は本来このバブルルームに移動するのだが、Mr.フライデーが「今のヴィラよりもさらに良い部屋に移動しますよ」と言った。冗談だと思って聞き流したが…。

バギーで迎えが来て、案内されたのは「プール付きヴィラスイート」だった。私たちが宿泊していた「ヴィラスイート」に、19㎡のプライベートプールが備わった客室。正真正銘のアップグレードである。

広々としたバルコニーには、もちろんデイベッドやハンモックも。

スーツケースに詰め込んだ水着をもう一度取り出した。せっかくこんな部屋に来たのなら、泳がない選択肢はないだろう。

エメラルドグリーンの海にまっすぐと伸びるインフィニティプール。

先に見えるのは「クルーソーレジデンス」と呼ばれるボートでしか辿り着くことのできないヴィラだ。桟橋でつながっておらず、完全独立スタイルでプライバシーが保たれる。ギリランカンフシのアイコンのようなカテゴリーのひとつで、メディアにも度々登場する。

フュージョン和食と『日本風・海外文化』

大人用の自転車が身体のサイズに会わず、子ども用に替えてもらった。

行き残した場所があるので、ランチ前に立ち寄ることにした。自転車で島内を走るのもこれが最後になるだろう。

「オーガニックガーデン」

リゾートの真ん中にある「オーガニックガーデン」。ここでは、ガーデン専門スタッフが肥料や殺虫剤を使わず、野菜やハーブなどを大切に育てている。栽培された新鮮な食物はホテルのレストランで使用。採れたての身体に良いオーガニック食材を使った食事をゲストに提供する、自給自足スタイルだ。

自由に見学もできるが、エグゼクティブシェフが詳しく案内するガーデンツアーも申し込めるらしい。

「ジャングルシネマ」

また少し自転車を走らせると、茂みの中にスクリーンとリクライニングチェアが現れた。ここでは週に一度映画が上映されており、ポップコーンを食べながら星空の下で楽しむイベントが開催される。

45室のうち、どれくらいのゲストが集うのだろうと少し疑問だったが、近くのゴミ箱にポップコーンの袋がたくさん入っていたので、それなりに人は集まっているようだ。

昼食にギリランカンフシのファインダイニングである「By the sea(バイザシー)」を予約していた。リゾートで一番の人気レストランで直前には満席状態になることも多く、唯一、完全予約制をとっている。

「バイザシー」はビーチ沿いの建物の2階に位置している。1階には24時間営業のフィットネスセンターを併設。
2階から海を見下ろせるソファ席。

ランチの時間になり、一番乗りで入店した。ファインダイニングではあるが、ビーチリゾートらしくカジュアルな雰囲気が残る空間だ。

「Create your own Zen Garden」

テーブルの真ん中には小さな砂場のようなものがある。料理がやってくるまで、なんとここで自分だけの“禅ガーデン”を作るのだという。御丁寧に禅とはなにかの説明も書かれている。ジャパン、スシ、フジヤマ、スキヤキ、ニンジャ、キモノ、そしてこの並びに加わったのが「ZEN(禅)」だ。海外の方は、果たしてこの“アクティビティ”に日本らしさを感じるのだろうか。

私はすぐに飽きたが、夫は楽しそうに禅ガーデンを作っていた。そして3つ目の庭が出来上がった頃に料理がやってきた。

左「スイカジュース」 右「Soyokaze(midori melon, gin, tanqueray, rosemary & green pea)」

バイザシーのドリンクメニューはかなり豊富なうえ、バラエティに富んでいる。日本酒や焼酎から、ウイスキー、ワイン、各国のビール、20種類を超えるノンアルコールドリンク。

特に注目したいのは、焼酎や日本酒に山葵やトンカツソースを掛け合わせたオリジナルのビバレッジが並ぶ「ジャパニーズ・カクテル」。それから「ソヨカゼ」「トーキョー・ローズ」「タイヨウケイ」「ミズミ(ミズウミ?)」と、いかにもな名前が付けられた「アイランド・シグネチャー」。さらに「グリーンティー・セレクション」として、玄米茶、抹茶、煎茶などのお茶も取り揃えている。

我々日本人が思う日本とは大きく乖離しているが、私はこの類の『日本風・海外文化』が好きだったりもする。それと同時に、なぜこの時代に、これだけ多くの観光客が日本を訪れているのに、未だ「フジヤマ」「スキヤキ」「ニンジャ」のようなイメージが濃く残っているのかを疑問に思う。

「Maldivian Maki」
「Blooming Maki」

巻物を2つオーダーしてみた。私は日本の巻物よりも、いわゆるカリフォルニアロールが好きで、海外で見つけると稀に食べることがある。

「モルディビアン巻き」は、ローカルツナ、レタス、トマト、玉ねぎに、スリランカのふりかけ「カッタサンボーラ」を合わせたもの。日本ではあまり使用しないスパイスが効いた外国らしいメニューだ。

「ブルーミング巻き」はサーモン、日本のマヨネーズ、アスパラガス、アボカド、山葵と馴染み深い食材を使用していて、食べ慣れた味に納得した。

「Mixed tempura plate」

天ぷらは特段美味しいわけではないが、かといって違和感もない。日本の学食くらいのレベルが近いのではないかと思う。

私たちはオーダーしていないが、居酒屋メニューや握り寿司、麺類まで様々な日本食が揃っている。ギリランカンフシには日本人シェフもいるので、異国の小さな島でこれだけ本格的な和食を提供しているのは、お世辞なしにすごいと思う。

しかし驚くのはその価格だ。ドリンク2杯、ロール2種、天ぷらで、2万円を超えた。決してホテル側の値付けが問題なのではない。モルディブのラグジュアリーリゾートではおそらく相場だろう。新鮮な魚介類を使用し、日本人が食べても謙遜ない味の和食を提供しているのは素晴らしい。改めて、日本食は海外で「ラグジュアリー」の地位を確立していると感じた。参考までに、握り(2貫)の値段は$18〜20(2,500円前後 *2023年4月現在)だ。

強風とハンバーガー

せっかくのプール付きヴィラだが、雨に加えて強風も吹き始めたので、ベッドルームの扉を閉め切って引きこもった。

最後のディナーにインヴィラダイニングを注文した。悪天候の中、細い桟橋を渡って運んでくるスタッフには申し訳なさを感じるが(勿論チップを包もう)、このような天候の崩れがあっても、自分の部屋で美味しいごはんが食べられるのは嬉しい。ギリの食事は何を食べても間違いない。数日間の滞在で絶対的に信頼している。

「ビーフハンバーガー」
付け合わせは数種類から好きなものを選べる。

海やプールで泳いだ後はジャンクフードが食べたくなる。ベッドルームの床に座って、肉厚なハンバーガーを頬張った。

島に残すは足跡だけ

海の上のレストラン「Over Water Bar」

ホテルを発つまで残り僅か。しんみり過ごすのも寂しいので、初日にサンセットとディナーを楽しんだ「Over Water Bar」に立ち寄ることにした。私たちのギリ・ストーリーは、ここで始まり、ここで終わるようだ。

左「strawberry smoothie」右「Island Blossom」

二人で数日間の思い出でも振り返りながら締めくくろうと思っていたが、ここでもギリのスタッフが会話に参戦してきた。車やアニメが好きで、とてもおしゃべりなサーバーだ。彼の趣味と日本のコンテンツの相性が良く、気付くと1時間が経過していた。

出発までもう時間がない。急いでヴィラに戻ってパッキングに勤しむ。

2階から見た夜のプールはライトアップされて幻想的。

お世話になったホテルのスタッフに別れの挨拶をして、ボートに乗り込み、空港へと出発する。複数人のスタッフが、ライトを照らしたスマートフォンを握った手を、離れていく私たちに振り続ける。どんどん遠くなる島。途端に寂しさに襲われる。多くの楽しかった思い出と、仲良くなったスタッフたちの顔が浮かぶ。

ギリランカンフシは、地球環境の保全に力を入れている。ここで過ごした数日間で、私たちはこの美しい海を守る義務があるということを強く感じさせられた。

「島に残すは砂上の足跡だけ」

ギリはわたしたちに多くのものを残してくれた。

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