ハネムーンで訪れたモルディブ。「1島1リゾート」と呼ばれる、世界でも類を見ないスタイルを確立するモルディブでは、どの島(=ホテル)を選ぶかで旅の全てが決まると言っても過言ではない。
私たちが宿泊した「ギリランカンフシ(Gili Lankanfushi)」は、過去にトリップアドバイザーの「旅行者が選ぶホテルランキング」で世界・全89万ホテルの中のトップを獲得したことのある、業界では有名なリゾートだ。
そんなギリランカンフシで、私たち夫婦が五感で浴びたトップ・エクスペリエンスが、この「ハネムーン旅行記」には詰まっている。
オーダーメニューを楽しむ、3日目の朝ごはん
3日目の朝。この日も、朝食を提供しているレストラン「Kashiveli(カシヴェリ)」からスタートする。ぐるりとビュッフェをまわって席に戻ると、前日に担当サーバーへ「美味しかった」と伝えたアイスラテとスムージーがすでにテーブルに運ばれていた。気を利かせて持ってきてくれたようだ。
ゲストに大人気だというアボカドスタンドで、オリジナルのペーストを作ってもらった夫。パンにつけて食べると美味しく、翌日もリピートするほど気に入っていた。私はメニューブックからポーチドエッグを選んでみた。こちらもシンプルな味付けで起き抜けの一品にぴったりだ。
最後にワッフルをオーダーした。付け合わせを自由に選べるので、ホイップクリーム、アイスクリーム、バナナの3種類に。ふわふわのクリームは甘さ控えめで食べやすい。ビーチで海を眺めながら、ひんやり冷たいアイスをのせて食べると、この上なく良い気分を味わえる。幸先の良い一日になりそうだ。
ギリランカンフシの素晴らしい朝食については、2日目の記事を読んでほしい。
ゆらゆら揺れる海の中を眺めながら・・・
ハネムーナー特典で30分のマッサージとカップルバスが付いていたので、お昼前に予約していた。海の上にまっすぐ伸びる橋を渡って「Meera Spa(メーラスパ)」へと向かう。「Meera」とはサンスクリット語で「海」を意味するらしい。
ウェルカムドリンクをいただきながら、簡単な問診票で身体の状態をチェックする。特典ではマッサージが30分なのだが、物足りないだろうと追加代金を払って60分のコースに延長してもらった。
ミネラルが豊富なシーソルトのフットスクラブで軽くフットマッサージを受けて、施術ルームに案内される。
ギリランカンフシのスパには、6つの水上トリートメントルームが備わっている。うち4部屋は二人同時に施術を受けられるカップルルームだ。トリートメントにはこだわりのオーガニック製品が使われる。
ベッドでうつ伏せ状態になると、ガラスの床から海の中が見えた。ゆらゆらと動く影に、時折現れる小魚たちが、ヒーリング効果をより一層高めてくれる。前半はぼーっと海を見ていたが、いつの間にか目を瞑ってしまっていた。
とても心地よいアロママッサージで数回意識が飛びそうになりながら、あっという間に1時間が過ぎた。
そのまま吹き抜けのバスルームに案内されると、ブクブクと泡立つジャグジーに、シャンパンと苺が用意されていた。「カップルバス」の特典だ。絵に描いたような“ハネムーンらしい体験”に、少し笑ってしまった。「30分ほど自由に楽しんでください」と、スタッフは去っていった。
お湯にも少し浸かったが、早めに出てしまった。本来、絶景を目の前に感動的な体験であるはずなのだが、自分達のヴィラでも同じような景色を見ることができるので、ありがたみが薄れてしまっていたというのが本音だ。
ソムリエの「テイスティング・クラス」は400銘柄が揃うワインセラーで
地下には温度管理されたワインセラーがあり、世界中から集められた400銘柄のワインが所狭しと並ぶ。
ギリランカンフシでは様々なアクティビティに参加することができる。今回ワインセラーに来た理由は「チーズ&ワインテイスティング」のクラスに参加するためだ。
他に参加者がいなかったので、私たち二人の貸切クラスだった。ワイン初心者で詳しくないことを最初に伝えると、とても細かく、例え話も混ぜながら、丁寧に分かりやすく説明してくれた。
ワインだけでなく、日本酒など他ジャンルの酒にも詳しいエンターテイナーのソムリエが、時にはプライベートの話も挟みながら、時には一緒に写真を撮りながら、カジュアルに楽しく進めていく。
ギリランカンフシでは、マリンスポーツ以外に、このような「食」にまつわるアクティビティも充実している。例えば、野菜を栽培しているオーガニックガーデンをエグゼクティブ・シェフが案内する「ガーデンツアー」や、日本人シェフが教える和食の料理教室。今回の「ワインテイスティング」は、チーズでなくチョコレートのクラスも選択可能だ。
なにも決めないスローライフ
スパにワインクラスと朝から予定続きだったので、ディナーまでは気の向くままにスローな時間を過ごすことにした。
ギリランカンフシの島は、一周を徒歩20分ほどでまわれるサイズ感。滞在中は専用の自転車を一人一台借りられるので、島内を探検するのもオススメだ。裏側には従業員が生活しているであろうアパートや従業員用のコンビニのようなショップも存在し、まるで一つの街のようになっていた。
一応プールもある。この日は小学生が父親と遊んでいたが、全ヴィラから海にいつでもダイブできる環境なので需要は少ないと思う。ゆえに人口密度はかなり低く、落ち着いた雰囲気でゆったり寛げるのだ。そもそもゲストルームが45室しかないギリランカンフシでは、どこに行っても場所の取り合いになることは無い。リゾートにおいて、これは魅力的なポイントのひとつだろう。
プールサイドでスイーツを提供しているのが「フィニ・フォニ」だ。モルディブ語で「冷たいスイーツ」を意味するフィニフォニでは、ホームメイドのアイスクリームやアイスキャンデー、軽食、カクテルなどを楽しめる。
ストロベリーとピスタチオのアイスクリームを買ってみた。もっちりした食感で濃厚。食べ応えがあり、午後のおやつにぴったりのスイーツだ。
スーベニアショップにも立ち寄った。タオルやボールペン、マグカップなどの日常で使えるロゴ入りグッズを記念に購入するつもりでいたが、その類のものはあまり揃っていない。Tシャツ、キャップ、エコバッグなどのアパレル商品なら見つかった。最終的に、私たちはロゴ入りテディベアを連れて帰った。
この日のサンセットは、力強く幽玄だった。あっという間にディナーの時間だ。
ラグジュアリーな「アジアン ストリート マーケット」
ビーチ沿いのレストラン「Kashiveli(カシヴェリ)」で、アジアン・ストリート・マーケットが開催される日。ギリランカンフシでは、週に数回テーマを設けた特別ディナーが開催される。レストランの数こそ多くないが、毎日異なるメニューが提供されるので飽きることはなく、長期滞在者からも高評価を受けている。
中国、インドネシア、ベトナム、スリランカなど、アジア各国の料理が揃う。もちろん日本のブースもあり、日本人シェフがミニお好み焼きを出していた。
普段は何もないビーチを会場に、一晩のためにこれらのブースがセッティングされる。レストラン内でビュッフェとして同じ内容の食事を提供することもできるはずだが、この形式にすることでイベント感がさらに高まる。波の音にギターと歌の生演奏も加わり、このマーケットは完成する。ギリの雰囲気作りへのこだわりには脱帽だ。
好きな具を選んで作ってくれるシーフード焼きそばをメインに、気になる料理を少しずつ味わった。アジアから来た私たちにとっては親しみのあるメニューも多かったが、他のエリアから来たゲストにとっては珍しい体験になるだろうと思った。
滞在日の関係で参加が叶わなかったが、「メディテラネアン・スパイス・スック」と称した地中海料理ビュッフェや、ブラジル料理がテーマの「シュラスカリア」が行われる日もあるらしい。ギリでしか楽しめないラグジュアリーなテーマナイトは、ぜひ参加したいイベントのひとつだ。