神戸は、ホリデーシーズンが似合う街だと思うのです。
「ビルヂング」と記したくなるような歴史ある重厚な洋館と、クリスマスに向けて施されるデコレーションの相性の良さ。とりわけ、神戸港の開港とともに発展した旧居留地エリアは、いつもに増して煌びやかに輝き、毎年この時期は賑わいを見せます。
1870年創業 日本で初めて生まれたホテル「オリエンタルホテル」
神戸港が開港して間もない1870年に開業した「オリエンタルホテル」は、日本で初めて生まれたホテルです。
当初は外国人専用として、戦後は政財界の社交場として使われていました。マリリンモンローが新婚旅行で訪れ、谷崎潤一郎の『細雪』にも登場するなど、阪神間モダニズムの象徴でもあったのでしょう。
1995年、阪神淡路大震災の影響でクローズを余儀なくされましたが、2010年にその名を受け継ぎ再びオープンしました。
フロントは17階にあります。このフロアには、オールデイダイニングの「メインダイニング バイ・ザ・ハウス・オブ・パシフィック」、鉄板焼きの「ステーキハウス ミディアムレア」、江戸前鮨の「神戸・鮨かねさか」、ラウンジ「ザ・バー ジェイダブリューハート」が揃い、私自身も過去に何度も食事に訪れている、馴染みのある空間です。
No.1215 オリエンタル キング ハーバーサイドの客室
12階の1215室、オリエンタル キング ハーバーサイドのお部屋。低めのキングベッド、窓際のパーソナルチェア、作業するにも十分なサイズのデスクが揃い、壁掛けのデコレーションからノスタルジックな雰囲気が漂うインテリアです。
神戸の街でディナーを楽しみ、カフェでテイクアウトしたコーヒーを片手に帰ってきました。
いつもなら寒空の中、そう遠くない自宅に電車で帰宅するところですが、この日はホリデーシーズンの特別な夜。
一年で最も華やかにデコレーションされた、旧居留地のデパートやメゾンブランドのショーウィンドウを眺めて、ライトアップされた木々の下を潜りながら、足取りも軽く帰路につく、心躍る夜なのです。
着替えてまったり寛ぐこの時間が、ホテルステイの醍醐味。まだ明るいハーバーランドの夜景を眺めてみたり、普段つけないテレビ番組を横目に見てみたり。
夫はずっとパーソナルチェアで、私は主にベッドでごろごろ。腰掛けられる場所が複数あるのは、各々のんびり過ごせるので良いですね。
バスアメニティは、イタリア発のヘアケアブランド「ダヴィネス」の、ドライヘアに特化した「MOMO」シリーズ。そして、フランス発のスキンケアブランド「オムニサンス」のスキンケアセット。「ROSEBAY」の岩塩バスソルトも2つ用意されていました。
ゆったりサイズの浴槽が備わった日本式のバスルームを、せっかくなのでバスソルトを入れて楽しむことに。自然なグリーンティーの香りがふんわり広がり、リラックス効果がありました。
アメニティバーには充実のお茶のラインナップが。数種類の茶葉から選んだジャスミンティーを注ぎ、温まった身体が湯冷めしない間に夢の中へ。
7時台限定「絶品フレンチトースト」の朝食を目指して
朝食は、ホテルの個性が光るポイント。オリエンタルホテルでは、朝7時〜8時の1時間限定でフレンチトーストを提供しています。知ってしまったからには、早起き確定です。
朝からスパークリングワインも楽しめます。「オリエンタルティースパークリング」は、ホテル限定のブレンドティーを炭酸で割ったノンアルコールカクテル。ランチやディナーでも提供しており、以前からお気に入りの一杯です。どちらもフリーフローでいただけるなんて嬉しい。
他にも、アサイードリンクやブラッドオレンジジュースなど、なかなか見ないラインナップにワクワクしました。
ビュッフェ自体の品数が特別多いわけではありませんが、工夫された品々が並びます。例えば、神戸中華街が近いことから中華粥や飲茶が。パンは地元で愛されるイスズベーカリーのものを。そして、伝統のオリエンタルカレーまで。
サラダにはモッツァレラチーズをたっぷり入れて、シーザードレッシングをかけていただいたのですが、こちらも美味でした。
そしてやはり、特筆すべきは時間限定のフレンチトースト。サブレ生地を纏い、見るからに個性的な逸品。ザクザクの先には、ふわふわの食感が待っています。濃厚でありながらも甘さは控えめで軽く、一瞬で食べ終わってしまいました。
お部屋に戻って、朝陽があたためてくれたベッドに潜り込み、もうひと眠り。
かつて世界中から海外VIPを迎え入れていた、日本初の特別なホテル。今では、観光客だけでなく地元の人々からも愛され、皆にとっての特別なホテルとしてこの街に存在しています。